黒髪を守り、
食卓を支えてきた椿油

黒髪を守り、食卓を支えてきた椿油

伊豆諸島の伊豆大島へ、椿を見に出かけてきました。島のあちこちで咲き、つややかな葉の間からのぞく花がとても印象的でした。

椿の歴史は古く、縄文時代にまでさかのぼります。その名の由来には諸説あり、葉に光沢がありつややかなことから「艶木(つやき)」、また、葉が厚いことから「厚葉木(あつばき)」が変化したという説があります。

伊豆大島の名産品の一つが椿油です。椿油はもともとは食用や灯明用として使われていましたが、平安時代には、貴族たちが黒髪を艶やかに保つために用い、江戸時代には、櫛通りが良くなるので日本髪を結うための必需品として庶民の間にも広まります。祖母が椿油をつけて丁寧に髪を整えていた姿を、ふと思い出しました。

江戸時代に流行していた天ぷらにも椿油が使われていました。卵黄と小麦粉を混ぜた衣をつけて揚げた「金ぷら」は、椿油で揚げることでサクサクとした食感に仕上がり、上品な味わいになったといわれています。

時代の流れとともに精製技術が発展し、現在の椿油は遠心分離機などで不純物を取り除くため透明度が高く、主に化粧品として利用されています。一方、食用の椿油は伝統的な方法で加熱加工されるため、やや色づいているのが特徴です。オレイン酸を多く含み、加熱しても酸化しにくいことから、炒め物や揚げ物、アヒージョなどの加熱調理にも適しています。

艶やかな黒髪を守り、食卓を支えてきた椿油。日本の暮らしの中で大切に受け継がれてきました。



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