卵、鶏卵、玉子
あらためて思う卵の存在
卵はいつも冷蔵庫に入っていて、あと一品と思う時に、おかず、汁物などやデザートにと役に立ってくれる存在です。
鶏卵は物価の優等生の代表とされて、60年前位からほとんど価格に変動がありませんでした。しかし、鳥インフルエンザなどの影響で、最近はスーパーマーケットの卵売り場の棚が空いていたり、いつもの商品が無く、価格も高くなっています。
朝食のハムエッグや卵かけごはん、お弁当に欠かせない卵焼き・・・など、改めて鶏卵の存在を感じています。
そこで、あらためて「たまご」についてです。
卵、鶏卵、玉子、いずれもたまごですが、これらの漢字の違いは?
卵は、ふ化して生物になるもの、鶏卵は鶏の卵、玉子は一般的に調理されたものを指します。
鶏卵は、いつから日本人は食べるようになったのでしょう?
かつては、仏教の影響で、鶏卵を食べることは殺生であるとされていました。室町時代になって、卵は生き物ではないという風潮が強くなり卵を食べられるようになったようです。一般に鶏卵を食べるようになったのは、江戸時代になってからです。しかし、庶民にはなかなか食べることのできない高価なものだったようです。
江戸時代の中期以降、料理ブームが起こり、百珍ものが流行り、料理本が多数出版されます。1785年に出版された料理本「万宝秘密箱(まんぽうひみつばこ)」、別名「卵百珍(たまごひゃくちん)」があり、「金糸卵」「銀糸卵」など103種類の卵料理が紹介されています。こんなにたくさんの卵料理が作れるのかと驚いてしまいます。
明治時代には食生活が多様化し、大正時代には家庭料理に洋風料理が用いられ、家庭でいろいろな卵料理が食べられるようになりました。
今ではTKGと言われる卵かけごはんは、明治時代以降に食べられ、画家の岸田劉生の父である岸田吟香が日本で初めて食べた人だそうです。
現在のように冷蔵庫にいつでも入っているというようになったのは、昭和30年以降です。
子どもに人気があるものとして、「巨人・大鵬・卵焼き」と言われていました。
いつでもあると思っていた卵、身近な卵になったのは、少し前の昭和になってのことでした。